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番外編4

*悠哉×叶多で本編のすこし後です。 『悪い子だ。ここをこんなに尖らせて……私を誘ってるのかい?』    ――違う、僕は誘ってなんか……。  無機質な、灰色の部屋に響く男の低い声。  肌理の細かい肌を撫で回す、がっしりとした大きな手。  胸の尖りを掠める指に、体が揺れてしまうのは……何かの薬を塗られたせいで、決して自分の意思ではない。 『蓮に似て、(みだ)らな体だ』  天井から垂らされた鎖へと手首を一纏めに繋がれ、ようやく立っていられるくらいの高さで拘束された叶多に、そう告げながら笑みを向けてくる男の瞳はどこか虚ろだ。 『酷い目にあっていたようだね。だが、こんなことはもうさせない。これからは私が守ってやるから……』 『……っ』  鎖骨の辺りにくっきりと残る煙草を押しつけられた痕へと、指を這わせながら告げてくるけど、今の叶多が置かれているのはそれよりも酷い状況だった。 『……止めてください。どうしてこんな……』  なぜこんなことになっているのか、いまだに理解できないが、いつもの彼に戻って欲しいと願いを込めて懇願する。  優しかった父の友人が、ここまで豹変するなんて……こんな事態になっていても尚、叶多には信じられなかった。 『なんだその目は。世話になった相手を、そんな目で見るなんて、蓮はどんな教育をしてきたんだ? まあいい、お前も蓮と同じように、躾なおしてやる』  ――ダメ、それは……嫌……だ。  鞭を取り出した彼の笑顔に体がガタガタ震え出す。  そして、 『勝手に死んだ蓮を恨め』  振り上げられた一本鞭が、衣類を一つも纏っていない叶多の体へと振り下ろされ――。  ――嫌だ……痛いっ、やめて! 「アッ……アアッ!!」  絞り出すような悲鳴を上げた叶多が体を痙攣させ、息苦しさに喉の辺りを引っかこうとして手を動かすと、強い力で手首を掴まれそのままベッドへ押しつけられた。 「や、やぁっ……」 「大丈夫。夢だから」  耳によく馴染んだ声がしたあと、ふわりと額へキスをされ、涙で出来た膜の向こうに良く知る顔が見えてくる。 「あ……あ」 「息、吐け。ゆっくりでいい」  溢れる涙を拭うように目尻をペロリと舐め上げながら、震える叶多に触れるだけのバードキスを繰り返し落とすのは、学校以外の大半を共に過ごしている恋人だ。

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