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『絶対上手くいくから、俺に任せて』
数日前の昼休み、悩みを打ち明け終えた叶多に、自信ありげな笑みを浮かべて瞬は明るく言い放った。
八方塞 がりだったこともあり、頼ってしまった叶多だが、今となってはどうすれば上手くいくのかがまるで分からない。
「あの……」
「疲れたろう。片付けは俺がやるから、カナは少し休んでろ」
食事を終え、そのあと皆で楽しく会話をしたのだが、彼らを見送り部屋へと戻ると、どこか空気が重たかった。
見送りにこそ行かなかったが、キッチンへと立ち食器を洗う悠哉の顔は穏やかなものだ。だけど、常に一緒にいるからなのか、いつもとは違う雰囲気なのは肌が敏感に感じ取る。
――なにか、悪いこと……した?
そう尋ねたいと思うけれど、怖じ気づいて声にはならず、だからといって座ることも出来ずに立ち尽くしていると、「どうした?」と、優しい声音で聞いてくるから、何故か泣きたい気分になった。
――そうだ。
帰りがけ、瞬たちに言われた言葉を頭で反芻し、叶多は悠哉が立つキッチンへゆっくりと歩み寄る。そして、すぐ背後まで近付いたところで、彼が食器を洗い終えたから、『今だ』と自分を奮い立たせて、その背中へと腕を伸ばした。
今、勇気を出さなければ、弱い自分を応援しようと集まってくれたみんなに顔向けできなくなる。
『佐野やりすぎ。ちょっとでいいって言ったのに』
『そうだった? 悠哉の反応が面白かったから、つい……ね』
先程、見送りに出た玄関の外ですぐに始まったやりとりに……叶多自身、今日は佐野からのスキンシップが多いと感じていたのだが、どうやら瞬がそうするように指示したらしいと理解した。
『どうしてそんなこと……』
『ヤキモチを妬かせようとしたんだろうけど……安易というか、瞬らしいと言うか』
『圭吾だってそれがいいって言ったじゃん』
『そうだけど、妬かせるにしても、もっと他に方法があったような……』
瞬と圭吾の掛け合いのような会話を見聞きしてるうち、気持ちがだいぶ落ち着いてきて、自分のことを思ってくれている彼らの気持ちが伝わってくる。
『こういうのは、わざとらしいくらいがいいんだよ。類もヤキモチ妬いてくれた?』
『……別に、知ってましたから』
佐野からされた質問に、表情一つ変えることなく返事をした射矢だが、叶多が一言『ありがとう』と感謝を込めて礼と告げれば、『いえ』と答えた彼の耳たぶがほんの少しだけ赤くなった。
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