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「う……ぅっ」
慈しみを覚えるようないつもの優しいふれ合いと違う、貪るようなその激しさに、叶多の体は無意識の内、カタカタと小さく震え出す。
すると、それに気付いた悠哉の動きがハッとしたように止まったから、やめて欲しくない一心で……叶多は自ら舌を突き出し、彼の髪へと掌で触れた。
「……ん、ふぅ」
どうやら、悠哉は叶多のそんな気持ちをすぐに汲み取ってくれたようで、意志に反して震えてしまう華奢な背中を片腕で支え、顔の角度を変えながら、唇同士の接合を更に深めていく。
「う……んぅ」
ねっとりと上顎をなぞられ、たったそれだけで感じてしまった叶多は膝から崩れ落ちるが、瞬時に動いた彼の片脚が脚の間へと割り入ったから、結果的に悠哉の腿へと乗せられるような形になった。
「キスだけで、勃てたのか?」
「……だって」
ようやく解放された唇で喘ぐように息を吸い込むと、耳たぶを軽く噛んだ悠哉の低音が腰に響いてくる。
「ここも、硬くなってる」
「……アッ」
シャツの裾から入り込んだ指に胸の尖りを弾かれて、叶多が大きく体を揺らせば、乳輪ごと摘んだ悠哉が絞るみたいにそこを揉みはじめた。
「ん……うぅっ」
久々にそこへ触れて貰えた悦びに体が打ち震え、甘えたように喉が鳴るけれど、これは無意識の反応だ。
さらに……股の間へと差し込まれている悠哉の脚が動きだし、布地の上から緩く陰嚢を押し上げるように刺激されれば、愉悦に腰が揺れ始め、爪先立ちになった叶多は、バランスを崩し悠哉の胸へと縋りついた。
「やらしいな」
「……ごめん……でも、でも……」
呆れられたのではないか?
と、不安になった叶多の目尻から、涙が一筋頬を伝って細い顎へと伝い落ちる。
すると、困ったように笑った悠哉が、
「違う、褒めてるんだ」
と告げてきて……突如視界がぐらりと回り、白い天井へと切り替わった。
「カナ、これからお前をベッドで抱く」
有無を言わせない雰囲気を帯びた悠哉の言葉に頷きながら、自分の心臓が早鐘のように速度をあげていくのが分かる。
気付けば彼の腕の中、横抱きにされている状態で……そこからベッドルームへ行くまでどちらも言葉を発しなかった。
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