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マンションのような外観の寮にようやく入った。左右の壁に設置された下駄箱は郵便ポストのようにも見える。教えられた番号を開けるとスリッパが用意されていたので、靴と履き替えた。 下駄箱のある玄関ホールの先にガラス扉があって、それを抜けると正面に階段とエレベーター、トイレ、ランドリーがあった。左右に伸びた廊下には各部屋があるようだ。 「4階の1番奥の部屋だ」 しんと静まった寮内、2人分のスリッパのぺたぺた音が響く。階段を上がって奥、止まった部屋には410とプレートがかかっていた。 「俺の部屋は1階の玄関ホールのすぐ横だ。トイレ側な。ちなみにランドリー側には副寮長の部屋があるから、俺がいない時はそっちに行ってくれ」 「分かりました。案内していただいてありがとうございました」 きっちり頭を下げると、髪の毛の隙間から先輩、寮長と目が合った。伸びてきた手がさらりと前髪を流す。 「勝さんも言ってたが、堰はきちんと挨拶ができて偉いな」 「えっいや……」 反応に困っていると、ぱっと手が一旦引かれ、今度は頭をわしゃわしゃと撫でられる。 「困ったことがあったらいつでも来いよ。じゃあな」 ひとしきり撫でた後、満足したように寮長は来た廊下を戻って行った。 「なんだったんだ……?」 今まさに困ってますよ寮長。

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