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見取り図によると、校舎は北向きにコの字の4階建で、現在地の玄関は東側。各クラスの教室は北側にまとまっていて、職員室は東、特別教室は南と4階にあるようだ。ちょうど目の前に職員室があるので、先生数人しか居なかったけど一声かけておいた。 肝心の保健室はというと、南側の端にあった。なんかここだけ隣の多目的室と距離があるような……? 「失礼します。緋吉(ひよし)先生居られますか?」 ノックをして顔を覗かせる。白衣の後ろ姿を見つけたと同時に「どうぞ」と招かれたので、身体も入れて扉を閉めた。 「あの、お世話になります、俺」 「侑哉くんだね?堰さんの息子さんの」 くるり。椅子ごと振り返った先生に面食らってしまった。勝手にもっと年配の人を想像していたから……どうみてもこの人は20代だ。それに、1つにまとめた透けるような薄茶色の髪やたれ目がちの柔和な表情は、一瞬女の人に見えたほど綺麗で。 「あ、はい。緋吉先生……で良いんですよね?」 「あれ、もしかして、あんまり僕のことを聞いてない?」 頷くと、先生は困ったように微笑んだ。 「僕は君のこと、良く知っているんだけどね」

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