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「オリエンテーションって何やんのかな」 「分からないけど、楽しみだな」 桐嶋とひそひそ話す。先生は詳しく教えてくれる様子はない。寮長に聞いてみようかな?いや、今日は俺たち新入生への対応で忙しいかもしれない。 「じゃあ名前順で端から自己紹介。先生記憶力落ちてるから、覚えやすく頼むな」 いきなりハードルが上がった自己紹介は、名前であいうえお作文、一発ギャグ、今まで付けられたあだ名、などそれぞれ見事に覚えやすいものだった。俺はと言えば、先生が桐嶋とのやり取りを聞いていたらしく顎にマスクの理由を取り上げてくれたので、名前と挨拶以外を言うことはなかったので助かった。 あだ名……特に無いし、あいうえお作文……2文字だしな。今度ギャグでも考えてみようかな。堰と咳をかけるぐらいしか思い付かないけれど。 「堰なに笑ってんの。すげー眼鏡曇ってんぞ」 「……笑ってない」 「うそだー」 桐嶋は意外に目ざとい。 「……よし、じゃあ自己紹介も終わったとこで、各寮に解散!プリント類は持ち帰ってしっかり目通しておけよ」 初日ということで号令は無く、あっさりとした終礼と共に金剛先生が一番先に教室を出る。ふと先生の抱えた書類からプリントが抜け落ちた。先生も周囲のクラスメイトも気づいていない。 「堰、もう行くのか?」 「うん、また明日」 「おー、じゃあな!」

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