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荷物を持ち、先生が落として行ったプリントを拾い上げて教室を出る。廊下に溢れた生徒の間を縫って先生を追いかけ職員室へ。ノックをしてからドアをスライドさせた。
「失礼します。金剛先生……」
「ん?」
入ってすぐの所に居たので探さずに済んだ。
「お前は……堰か。マスクでもう覚えたぞ。どうした」
思わぬマスク効果に驚きつつプリントを差し出す。ちゃんと見たらクラスの座席表だった。印刷された名前の下に、それぞれの印象が書き込んである。
「落として行かれたので」
「持ってきてくれたのか」
俺のとこに顎マスクって書いてある……。マスク効果って逆にそれしか印象がないのかもしれない。マスク外したら分からなくなるのでは。今のところ外さないけれど。
「ああ、気を悪くしたらすまん」
「いえ、つい見てしまってすみません」
受け取りつつ、プリントを追う俺の視線に先生が謝った。怒っていないどころか、その印象はちょうど良いぐらいだと思う。
「小物で覚えるのもどうかとは思ったが、マスク、風邪、咳、って流れで覚えやすいからついな」
「あまり外すつもりはないので良いと思います」
先生俺と同じ連想しててにやけてしまった。マスク上げてて良かった。
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