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「あっ、お前……!」 「あっ」 入ってきたうちの1人と、俺が同時に声を上げる。相手は初日に校舎の廊下で衝突した、逆立った金髪の上級生だった。 「え?なに?知り合い?」 「知り合いっつーか……」 もう1人の上級生が不思議そうに尋ねるけれど、知り合いというには随分やり取りが少ないし、不穏でもあると思う。でも、ちゃんと謝るには良い機会かもしれない。 「あの、この前はすみませんでした」 「この前は悪かった」 今度は謝罪を同時に口にして互いに見合った。どうして先輩が謝ったのか。 「あーいや、あん時機嫌悪くて当たっちまったとこあるから……乱暴なことして悪かった」 そうだったのか。でもこちらの不注意でぶつかったのも事実だ。 「いえ、俺の不注意ですみません」 お互い謝り合ってなんとも言えない空気になってしまった。 「え?なに?新入生にいきなり暴力振るったの?先輩サイテー」 「うっ……」 「ごめんね後輩くん。こいつ後でシメとくから!根は悪いやつじゃないはずなんだけど、すぐ手出すから次なんか会ったら俺にチクって!」 と、金髪先輩の首を腕で実際に締め付けながら言ってくれたもう1人の先輩は、野中(のなか)と名乗った。金髪先輩は根津(ねづ)と言うらしい。2年生だそうだ。

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