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2人が出た後、健助がなぜか部屋のドアを閉めた。
「健助?どうかした?」
「違ったらごめん。あの日侑哉が泣いていた理由に、あの人関係ある?」
驚いたのもあってすぐに否定ができなかった。関係があるかと言われれば、夢の原因としては間違いなくある。あの日素顔を見られたことで、容姿を褒められたことで、過去の記憶がフラッシュバックしたから。だけどもう済んだことで、健助に心配をかけるようなものではない。
「違うよ。あれは夢のせい」
間を空けて首を振った俺に、健助は「そうか」と呟いた。
「ただ、あの根津って人は気をつけた方が良い。本当に良いやつなら、そもそもすぐに暴力には、訴えない」
語気が強く感じたのはそういうわけだったのか。俺と先輩のやり取りを聞いて、心配して守ろうとしてくれていたんだ。俺のこと弟さんに似てるって言ってたもんな。大丈夫だよって、安心させないと申し訳ないな。
「うん、分かった。ありがとう」
納得してくれたのか、健助は息を吐いた。
「ごめん、お節介言って」
「ううん」
そこでちょうどノックがあって、また上級生たちとの挨拶が続いた。いろんな人が居たけれど、相変わらず回転が早くて特徴と名前が覚えきれる自信がないまま、最後の1組を迎えた。
「堰、宗弥、挨拶は俺で最後だ」
寮長だった。
爽やかな「お疲れさん」で410号室の上級生訪問は無事終了した。
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