33 / 329
14
注意事項は3つ。
範囲は学園の敷地内、ただし寮の各部屋、学園長室、職員室、保健室、あと火器のある家庭科室などは使用禁止であること。自転車は使用不可であること。必ず名札を見える位置に付けること。
「学園の構造を理解することと互いに顔を覚えることが目的だから、できるだけ動き回って色んなやつと挨拶してこい」
先生が説明を終えた直後、開始の放送が流れた。
「制限時間は昼飯まで。あと勝利チームには賞品があるぞ。次の放送で警察側が動くから、それまで遠くへ逃げろ。じゃあ、解散!」
賞品に期待の声を上げながら皆一斉に席を立って教室を出て行く。このまま敢えて残るか、禁止されていない特別教室に隠れるのも良いかもしれない。ぼーっとクラスメイトたちを見送っていると、初めてこの席に座った時のように右腕を引かれた。桐嶋だ。
「なにしてんの?早く行こうぜ!」
「あ、うん」
ぐいぐい引っ張られて促されたので、まあ良いか、と立ち上がった。
「どこ逃げる?」
「とりあえず校舎から出よう」
考えていたことと真逆だなあ。自分で思っているよりも積極性が足りないというか、行動的ではないのかもしれない。
「分かった」
頷くと、俺の腕を掴んだまま桐嶋は走り出した。背後で「転ぶなよ」と金剛先生の声がした。
ともだちにシェアしよう!