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足音の数は……2人かな。
半分埋まったタイヤ、山型でカーブのある雲梯、クライミングができそうなアスレチックなど、さっきまで桐嶋が遊んでいた遊具を木の陰から隠れて見る。最も入口寄りなのはアスレチックで、俺たちが隠れた場所からは遠いけれど草木に隠れながらならバレずに近づける距離。
程なくしてちょうど2人、息を切らして飛び込んでくる。逃げる方の体力が切れたのか、アスレチックに背を預けてしまったようだ。他の遊具で死角になってしまって少ししか見えないけど、捕まっただろう。そう思って離れるまで待ってみたものの、移動する様子がない。
「え?あの、やめてください……!」
「静かにしろ」
あれ、なんか、不穏な感じがする。隣の桐嶋を窺うと、怪訝そうな顔をしている。小声で、ちょっと見てくる、と伝えると低い姿勢で草木に隠れながらアスレチックに近づいてみた。
ガタイの良い先輩に手を掴まれた、気弱そうな同級生が見えた。女の子……?いや、男子校だしな。
「お前が女じゃないか確かめるだけだ」
「僕は男です!」
乱暴に同級生の胸ぐらを先輩が掴んだ時、なぜか俺は飛び出していた。走り寄って先輩の腕を抑え込む。
「何してるんです!」
「なんだ1年、邪魔するな」
「嫌がってるじゃないですか。捕まったならオーバーキルじゃないですか」
「うるせえ」
捕まっていた彼のシャツごと、俺の手が振り払われる。完全に意識が俺に向いた。
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