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どうしようか、ケンカが得意なわけでもないのに考えなしで出てきてしまった。捕まっていた子がおろおろしているのが分かる。 「平和的に、牢屋に行きましょう」 「お前も連れて行ってやるよ、ただし平和的にはいかねーな」 とりあえず提案はしてみたけれど、先輩は鼻で笑って拳を握る。桐嶋がこちらに向かって走り出したのが見えた。同時に先輩が拳を振りかざす。のを避けてその手に手刀を叩きつけた。 「……は?」 「えーと……、すみません。正当防衛です。こういうのは趣旨に反すると思いますよ、先輩」 俺みたいなのに反撃されると思っていなかったのかしばらくぽかんとしていた先輩が、徐々に怒りをあらわにしていく。わなわなと震えた手が俺の前髪を掴んだ。 「てめぇ、陰キャが調子乗んなよ……!」 今度こそ殴られる、と歯を食いしばったけど直前で誰かの掌がそれを受け止めた。桐嶋? 「お前がな」 「根津……?!」 根津先輩だった。後ろで桐嶋が制止されている。 「こいつの言う通りだろ、引いとけ。……それともオレが相手になろうか?」 「……くそ!」 根津先輩が凄むとガタイの良い先輩が引き下がった。雑に前髪を解放されて毛が抜けた気がする。そのまま、俺をものすごく睨みつけながら先輩が寮の方へ戻って行く。殴られずに済んだ。 「根津先輩ありが、」 「馬鹿野郎」 デコピンされた。 「無茶すんな。こういう時のための先輩だろーが。使え」 「先輩味方なんですか?」 「……ちげーけど」

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