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「今のはしゃーねーだろ」 目を泳がせて根津先輩が頭をかいた。照れてるのかもしれない。 「先輩、堰助けてくれてあざっす!オレぶん殴るとこでした!」 「お、おう……そりゃ良かった」 にこにこして物騒なことを言う桐嶋に、先輩がちょっと引いた。血の気が多いというか、桐嶋は思ったらすぐ行動するタイプなんだろうな。胸ぐら掴まれてるの見て飛び出した俺も似たような感じかもしれない。 「ところで、怪我はない?大丈夫?」 桐嶋のおかげで空気が和んだところで、怖い思いをしただろう彼に声をかけてみた。 「はい、ありがとうございました」 ずっと怯えていた彼は強張りながらも微笑んで、俺に頭を下げた。慌てて止める。 「いや、俺はなにも。根津先輩が」 「何言ってんだ、アイツ止めたのはお前だろ」 「そーだぜ!てか、堰かっけーな。なにあれ、忍者?」 手刀のことかな?恥ずかしいから忘れてほしい。以前剣道をやっていて体が動いたけれど、竹刀を持っていないので手で打ったというだけの話だ。竹刀を持っていたらもう少し間合いを取れて、髪を掴まれることはなかった。 「本当にかっこよかったですよ。僕、3組の葉桜陸兎(はざくらりくと)です」 笑ってごまかしていたら目が合って、自己紹介をしながら名札を見せてくれたので倣う。 「あ、俺は堰侑哉、1組です」 「オレ桐嶋猛(たける)1組!」 順番に自己紹介を返して、押し黙る根津先輩を全員が見る。無言の圧力に負けて先輩も口を開いた。 「……根津」

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