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うまく助けが来れずこのままだったら……自習かな?それとも掃除かな?なんて時間が余った時のことを考えてしまうけれど、どうせなら楽しくいい勝負がしたいな。桐嶋も根津先輩も間広先輩も楽しそうで、葉桜もせっかく気を取り直したところだし。健助……は見かけていないけれど、こういうのは苦手そうだからどこかで休んでいるのかもしれない。反対に、寮長はきっと忙しく走り回っている。 「そういえばゆーやくん、賞品は何か教えてもらえました?」 モチベーションを上げるためか、思い出したように葉桜が聞いてきた。牢屋のことを踏まえてだろう、教えてもらってないことを想定した聞き方に感心する。そしてその想定通りだ。 「いや、それも詳しくは……」 賞品のことに触れたのは開始ぎりぎりだったので、もしかしたらあること自体を知らずに参加しているクラスメイトも居るかもしれない。 「外泊権らしいですよ」 「がいはくけん?……ああ」 耳慣れない言葉に反復してから、遅れて意味を理解する。外泊する権利か。入寮したばかりで外泊どころか外出の欲もまだ無く、それが良いのか悪いのかピンとこない。 「ここって、長期休暇外の外泊許可厳しいそうなんです」 「そうなの?」 「はい。基本的に希望日1ヶ月前に本人と保護者両方からの申請が必要なんですけど、保護者が目的や関係、連絡先など承知しているのか確認されるそうで」 「それは……確かに……」 プライバシーがあるので具体的に報告しろというわけではないにしても、大体の保護者は確認があるから、と詳細に聞くだろう。多分それが狙いだと思う。そして、子供からしてみれば例え後ろめたいことはなくてもあまり細かくは教えたくない。

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