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「ゆーやくん……!」 部室を出ると少し離れた所で葉桜が待ってくれていた。一緒に来なかったのは生徒会長の計らいだろうか。単純に中が狭いからかもしれないけれど、おかげでひどい有様を見られなかったので感謝。公園でもしかしたら俺の立場だったかもしれないと、少しでも思ってしまったら葉桜のトラウマになりかねない。 「助け呼んでくれてありがとう」 「無事ですか……!お怪我は……?」 「……ちょっとだけ、巻き込まれて。でも先輩が助けてくれたから大丈夫だよ」 握ってくれている根津先輩の手に力が入った。ちらりと見ると目をそらしている。嘘がつけない人だなあ。幸い葉桜は気づいていないようだ。 「ああ、良かった……」 「ごめんね」 「え?」 「ごたごたしている間に捕まったから、牢屋に連れて行ってもらってくる。1人で逃げれる?」 一瞬間があって、任せてください、と葉桜は胸を叩いた。 「僕逃げ足は速いので、ゆーやくんの分も逃げ切ります!でも、帰って来てくださいね」 「うん、じゃあ後でね」 一緒に階段を下りてそこで別れる。葉桜が元気に走って行くのを見送って、体育館ではなく校舎へ向かう。階段上手に下りることができていたかな。段差の振動は腹にもくる。 「大丈夫か」 「はい、先輩が支えてくれたので」 「いや、そうじゃなく……それもだけど、その」 聞きたいのは強姦未遂の件だろう。

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