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ふと甲高い声が聞こえて眠気が飛んだ。危ない、本当に眠ってしまうところだった。あれから結構時間が経った気がするけれど、先輩たちはまだ入り口付近にいるらしい。おびき出そうとしてるなら粘り過ぎな気もする。 もぞもぞ動いたタイミングで、後頭部に健助のため息がかかり髪の毛が浮いた。それを撫で付けるようにした健助を見上げたら、人差し指を口元に持って行った後、外に出るぞと合図をされる。頷いて音を立てぬようにそろそろと机の下から這い出る。 「あ、ああ……っあん!」 耳が解放されたことで声をはっきり認識してしまった。なるほど、健助は気を遣ってくれていたらしい。実際は他人のことなので、こんなところで大胆だなあぐらいにしか思わなかった。 そんなことより今はここから逃げることだ。他の教室と同じようにここも前後2箇所に出入口がある。入った時に使った前方は先輩たちが塞いでいるので、消去法で後方へ向かう。彼らから対角線上が現在地点。行為に夢中ではあるけど、念のため見つかりにくいように四つん這いの形をとる。行為は激しくなっていってるようだし、そういう意味も含めて見つかりたくないなあ。 「1、2、3で立ち上がって出るぞ」 程なく後方の出入り口の前まで辿り着き、脱出のタイミングを合わせるべくお互いを見る。 「1、2……3!行け!」 合図とともにドアを開け放ち、同時に立ち上がって飛び出した。ただただ驚きの声が耳に残ったけれど、彼らはとても追って来れる状況ではなかった(それを狙った)ので廊下を駆け抜ける間も前方のドアが開くことは無かった。

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