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「健助、提案なんだけど」
PC教室から離れたところで徒歩に切り替えて、移動しながら声をかけた。あの先輩たちは行為が終われば仲間を呼んで追って来るかもしれない。すぐにどうこうというわけではなくても距離は取っておきたい。
「牢屋か?」
「当たり。味方の先輩探して解放に行った方が良いと思う」
恐らくもうほとんどタイムアップに近い。ここで一気に捕まった泥棒たちを解放できたら勝利が見える。最後の賭けみたいなものだ。
「忘れてないよな?無理をするなと、言われた」
「うん。味方が見つからなければ自分たちが逃げることを優先する」
しばらく考える素振りを見せて、健助は分かった、と首を縦に振った。
頼る味方はできるだけ及ぼす影響が大きい人が良い。生徒会長、副会長や寮長、副寮長……あとは先生。もしくは、個々の影響は小さくても複数人集まれば。協力的な人なら俺たちと同じ考えで牢屋の近くに来てくれているかもしれない。ならばとりあえずは。
「居た!そこの1年待て!」
玄関へ向かおうと、階段に差し掛かる所で呼び止められた。さっきの先輩たちだろうか?いや、1人しか居ない。顔は見ないように出たから判断できないけれど、声は違う気がする。新手だ。
「降りよう!」
とにかく校舎を出るために階段を駆け降りる。このまま行けば距離がある分逃げ切れるはず。が。
「おいそっちへ行ったぞ!」
2階の辺りで先輩が下に向かって声を張り上げた。下にも居るのか!挟み討ちだ。
「まずい、健助!」
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