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テスト
オリエンテーションで疲れ切った翌日、実力考査が実施された。
定期考査ではないから評価には響かないといっても目安にはされるはず。緋吉先生の口利きがあったとはいえ、学力が著しく低ければもちろん進級に響くし、先生の顔に泥を塗ることにもなり兼ねないのでそれなりの点数を取っておきたかったのだけど、結果は良くも悪くもない微妙なものだった。順位で言えば中の上ぐらい。目標の30位以内には及ばなかった。
次回の中間考査では達成しよう、と目標を新たに立てたところで、始まった通常授業に真面目に取り組む毎日。
「おーい、堰」
「……ん、なに?」
今は4月も半ばを過ぎた頃、次の授業の予習をしていると隣からとんとん、と机を指で鳴らされた。桐嶋にしては控えめだなと思う。たぶん気を遣ってくれているんだろうな。
「いや、用はねーけどさ、全然構ってくんねーじゃん。今だって3回は呼んだんだぜー」
「うそ、ごめん」
むすっとむくれた素振りを見せられて思わず頬を人差し指でつついたら嬉しそうだ。
「テストまでまだ早くね?」
「うーん。勉強しないと良い点取れないから」
「オレなんて勉強しても良い点取れないけどな!」
わはは!と笑う桐嶋につられて口角が上がる。5月に入ってもう少し実施日が近づいたらテスト勉強に誘ってみよう、と今は教科書を閉じて隣へ体を向けた。
「何か面白いことでもあった?」
「……おー!」
用はないと言っていたけど、3回も呼んでくれたのなら話したいことでもあったんだろうな、と聞いてみたら意外そうな顔の後に身を乗り出してきた。
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