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「面白いことじゃねーけど。……この前オリエンテーションやったろ」 オリエンテーションと聞いて懐かしいな、とぼんやり思う。つい1週間ほど前の話が半年は前のような気がしている、楽しかったけれど疲れが上回ってしまった思い出。対称的に桐嶋は随分楽しめたみたいで、この話題の時はいつもきらきらしていた。すごく活躍していたから、MVPがあったなら彼が取っていたはずだ。 やったね、とおうむ返しをすると更に近づいた桐嶋の笑顔が視界いっぱいになる。 「今度キャンプがあんの、すっげー楽しみでさ!」 「ああ、そういえばもうすぐだね」 学園として4月はとにかく新入生を慣らしていきたいらしく、第4週に2泊3日のキャンプが行われる。前回のオリエンテーションと違って1年生のみの参加だ。 「3組は今週色々決めるらしいぜ。オレらはまだかなー。コンセンそういうの面倒がりそうだし」 コンセン、というのは担任の金剛先生のあだ名。ただそう呼んでいるのは今のところ桐嶋しか見たことがない。みんなまだ距離感を測っているようなので、キャンプが終わる頃にはもしかしたら定着するかもしれないけれど。 「今のところ全く話題に出ないね」 「それな。なーもし2人部屋だったら一緒になろ!」 「うん」 泊まりとなると色々心配事が増えるので、仲の良い桐嶋と2人部屋なら俺としても安心できる。もし大部屋で雑魚寝、なんてことになったらちゃんとした睡眠は諦めなくちゃいけないな、なんて。杞憂で終われば良いけれど。

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