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卓上ライトに照らされた置き時計が指すのは夜の22時30分。時間を更新していく秒針と、かりかりとノートに書き込むシャーペンの音だけが薄暗い室内に響いている。
勉強するのは嫌いではないので苦にならない。好きでもないので普段からしているわけではないのだけど、1日30分でも復習と予習を習慣化すれば基礎学力が上がるのではないかと気づいた。娯楽が少なく勉強するための施設、寮っていう環境も適していると思う。
「まだ寝ないのか?」
ベッドが軋む音が混じって、上段から健助が聞いてくれる。寝る前の筋トレが日課らしく、ベッドに上がったということは今日の分を消化したらしい。結構ストイックな人だ。
「うん、キリが悪いからもう少し」
「そうか。ちゃんと寝ろよ」
「ありがと。おやすみ」
穏やかなおやすみが返ってきてまた静かになると、自然に大きなあくびが出た。
最近健助の声にはアルファー波が含まれているのではないかと思えてきた。もしくは催眠効果。それぐらいいつもリラックスさせてもらってる。健助の弟くんはきっと毎日快眠だったに違いない。
ただ今はもう少し頑張りたいので、眠気にはしばらく休んでいてもらおう。静かすぎず、騒がしくない、それでいて単調じゃなく適度にリズムの変わる、歌詞のない曲を選んで小音量にしてイヤホンで聴く。ギターの弦を弾く音がアクセントになって良い感じだ。夕暮れの砂浜を散歩するような情景が浮かんでくる。
そう言えば明日はキャンプの話をするんだったな。内容によっては放課後の勉強がはかどらないかもしれない。
もう少し進めておくことにしよう。
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