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週末、ホームルームの時間が来た。
「えー桐嶋の噂話で知ってるやつが多いと思うが、来週キャンプに行く。それについて今から色々決めます」
「イェーイ!待ってました!」
桐嶋のテンションにつられて教室に拍手と口笛が鳴る。それぞれ他クラスの友人や寮の同室者に話を聞いてもいるだろうし、楽しみにしているクラスメイトも多いのだろう。
ほとんど先に知っている情報を改めて今度は先生の口から聞くことになるんだけれど。
「まあ知らんやつのためにざっくり言っとくと、キャンプって言っても大げさなやつじゃなく、分かりやすく言うと泊りがけのオリエンテーションだな」
コミュニケーションを取るのが目的です、と先生。だからバスの席や部屋割り、行動する時のグループ分けはクラス混合になるそうだ。
「バスは酔う酔わない、部屋割りやグループ分けも多少の考慮はする」
まず乗り物酔いをする体質かどうかの確認がされ、手を挙げた数人を先生がメモに取る。次に部屋割りとグループ分けだけど、10人前後になるように各クラス2~3人のグループを組み合わせるらしい。
「今から5分で相談してくれ。はいよーいどん」
がたがたと椅子を引いて仲の良い友人同士で集まり始める中、桐嶋とは席が隣なのと前もって話していたので5秒で決まった。
「10人グループって結構な大所帯だよな」
「ね……」
心配した通りになってしまって、早くも睡眠時間を諦めた。同室者より後に寝て、先に起きる。コンタクトレンズの着け外しが問題なのでそれで事足りる。けれどたぶん、気になってしまって熟睡できないだろう。
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