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「助かった~サンキュー」 よほど重かったのだろう、カゴを置くと西岡 は手をぷらぷらと振った。 「ああ、礼なら侑哉に」 「ゆうや……って堰?が言ってくれたのか。ありがとな~!結局助けてもらったな」 「いや、俺は声かけただけだから」 「謙虚~!」 笑顔でばしばし肩を叩かれた。かと思うと、今度はがっしり掴まれる。なに?と聞くけれど、西岡は俺の肩から二の腕にかけてを揉む。 「腕力に自信あるって言ってただけに、見た目より筋肉あるな」 そんなしみじみ言われると照れる。誤魔化しで笑うと、横から前川が西岡を引き剥がしてその背中を強めに叩いた。悪い、と俺と俺を通り越した左の方向に謝っている。さっきのやりとりを思い出した。……蕗口か。 目線をやると蕗口は調理器具の用意を始めていて、手際良く手洗い消毒を済ませ必要な道具を並べている。いたって普通だ。こちらを見ていないし、前川は気にしすぎじゃないかな。 それに俺自身は非力ではないことを分かってもらえて嬉しい。 「大丈夫。むしろありがとう」 何がありがとうなのか分かっていない様子で叩かれた背中をさすりながら西岡は笑い、前川はただ頷く。 「ほら、俺らも手伝うぞ」 「おー」 そうして2人は連れ立って火起こしの手伝いにかまどの方へと行った。仲良いな。

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