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「そういう意味なら男子校はむしろマシって言うよ」
違うらしい。どちらにしても原因を隠している今は以前よりは平和に過ごせている。太朗くんが心配するようなことは……あったのはあったけれどあれは災害みたいなものだ。それに、費用の面で他の選択肢は難しかった。
「今は学費免除きくだろ?ゆうん家そんなに余裕なかったか?」
「うん、学費より生活費がね。寮に入りたかったから」
「ああ……そうか、それなら仕方ないな……」
うーん、と唸ったあと、太朗くんはゆっくりと息を吸って、吐いた。
「あのな、ゆう。隠されていると暴きたくなる、知ってしまうと独占したくなる、澄ましていると屈服させたくなる。そういう感情は大小あれど大体の人間は持ってるって、思っておこうな?」
そしてたぶん、その感情は女より男の方が強い。付け足された言葉は諦めのような声だった。
やっぱり、なんだろう、この違和感は。
「太朗くん変わった?何かあった?」
目を丸くした太朗くんと見つめ合い、流れる無言の時間。違和感があるのは俺だけじゃなかったらしい。
「ゆう、まさか忘れて……?」
そう、5年ぶりといっても当時既に骨格ができあがっていた彼の変化は俺と比べ些細なもので、あれだけお世話になっていたのだから気づかないはずはなかったのに。名前を聞くまで分からなかった。
忘れていたのだと思う。なぜ?
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