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「大丈夫、知り合いだから」 健助が頷いて、太朗くんの方へ顔を向ける。気づいた太朗くんが俺からぱっと離れた。 「お友達かな?彼ね、今めちゃめちゃ視界悪いから見ててあげてね」 ちょうどその時太朗くんの無線が鳴って、応じながら俺に手を振ってコテージを出て行ってしまった。もう少し話したかったなあ、と思ったけれど、口パクで「また後で」と言われたので黙って見送る。 「痛々しいことになってんね」 と、こちらに近づきながら蕗口。良かった、普通に接してくれるみたいだ。あのまま気まずくなってしまったら……と考えていたけど、その心配はないらしい。 「もう赤みは引いたんだけど、念のため。2人はどうしたの?休憩?」 一緒に入ってきたことを意外に思って聞いてみると、蕗口がふっとため息をついた。 「いや、宗谷が迷子みたいになってたから連れて来たんだよ」 「迷子」 健助は視線を外しながら迷子じゃない、と呟く。心なしかその声は小さいから、あながち蕗口の言ってることは間違いでもないのかもしれない。 「侑哉が居なかったから」 「あ、探してくれたんだ。ごめんね」 アスレチックの側から離れる時、声をかけようかとも思ったけれど健助はそこに居なかった。彼からすると少し離れた間に居なくなった迷子は俺なんだろうな。

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