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「目は大丈夫なのか?」 「うん、大したことないよ」 「そうか」 ほっ、と息を吐いた健助が、開いたままだった扉を閉じてこちらを見る。 「聞いていいか?さっきの」 「あー俺も気になる。ここのスタッフだよね?」 太朗くんのことだ。隠す必要もないので、幼なじみみたいな人だと答えた。実家同士が隣で、久しぶりに再会したのだと。 「通りで打ち解けた雰囲気だと思った。会えて良かったじゃん」 「うん」 素直に頷くとそこから沈黙が降りる。それに困って、とりあえず腰を下ろすよう勧めてみた。蕗口は2人掛けソファの俺の隣に、健助はなぜか他のソファでなく俺の足元に背を向けてあぐらをかいた。口元が全く見えなくてますます表情が分からない。 「……まだ時間あるし、昼寝でもする?」 時計を確認しても集合までには余裕がある。2人とも疲れたのではないかなとしてみた提案は、肩に重み(たぶん蕗口の頭)が乗ったので受け入れられたのだと思う。左側なので、彼の様子も分かりにくい。 健助はどうかと、ぼうっとフードのてっぺんを見つめていると、しばらくしてかくりとうな垂れた。その体勢で寝るのか。 「……おやすみ」 少ししたら起こそうと考えながら、俺も右目を閉じた。

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