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桐嶋のおかげで軽くなった空気の中、あまり時間も無いので集合場所へ向かうようにとみんなに声をかける。 蕗口と健助が立ち上がるのを待ってから俺も腰を上げ、けれど思ったよりも痺れがひどく力が抜けて、とっさに目の前の健助の背中にしがみついた。 「侑哉?」 「ごめん、体が痺れて……」 「ちょ、堰、産まれたての子鹿みたいになってる」 笑わないでくれ桐嶋。いや、笑ってくれた方が良いのかな。どちらにしても恥ずかしいからあんまり見ないでほしい。 「背負おうか?」 答えを待たずに健助の手が背後に回ってくるので、慌てて制止する。眼帯をした俺が背負われて現れたら大ごとになると思うなあ。 「ちょっと待って、すぐ治るから」 背中を借りたままで、その場で少し待った後軽く手足を動かしてなじませる。ぴりぴりはするけれど普通に歩けそう、というところで礼を言って健助から手を離した。 「いや、俺が枕にしたから、悪い」 「俺も肩借りてたけど、大丈夫?」 「そういや俺も堰の腕抱きしめてた気がする……」 はっとしてみんながそんなことを言うけど、改めてお互いよく寝れたなと感心してしまう。 「あはは、固かったでしょ。大丈夫だよ。ほら行こう」

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