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「すげー、まじで答え入口だったんだな!コンセンなにそれ、ゴール?オレら何等?!」  一番長い距離を走り回って、たぶん一番遠い位置から来ただろうに息の乱れた様子もなく金剛先生に詰め寄る桐嶋の体力。ほんとすごい。先生はそんな彼に押され気味で、はいはい、と流しつつ返している。 「何等かは秘密。とりあえず用紙預かるから遊んで来なさい」 「はーい」  素直に差し出す桐嶋にならって用紙を渡す。握りしめたかポケットに突っ込んだかで、桐嶋のそれはしわくちゃだった。走り回ってくれたもんな。 「桐嶋お疲れさま」 「おー、堰も!」  にこにこしながら労いが返ってきて、自然と俺も笑顔になった。ら、桐嶋がぎこちない感じで首を傾げた。どうした。お風呂の時と言い、感情がすぐ首へ行くのかな、見ていてとてもはらはらする。 「だ、大丈夫?」 「たぶん……?」  疑問形だ。疲れたのかな。  心配になってきた俺の斜め前で健助と蕗口からも用紙を受け取りながら、金剛先生がそう言えば、とこんなことを教えてくれた。 「端の方に川があるの知ってるか?マップに載らんぐらいの浅いやつだが」  瞬間、桐嶋の首が戻った。目がきらきらしている。 「川良いね、行く?」 「おー!行こうぜ!みんなで!」  健助と蕗口の返事を待たずに、桐嶋は2人の背中をばしんと叩いて促した。  あ、やっぱり元気そう。

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