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「お、噂をすれば蕗口」
桐嶋の声につられて廊下の方へ視線をやる。移動中だったようで、呼んだ?って感じでひょっこり教室の後ろ側の出入口から蕗口の顔が覗いた。ドアは開け放たれている。
「何の話?」
「今テスト勉強のこと話してた」
そのまま教室に入ってきて、ちょうど空いていた俺の前の席に後ろ向きで座った。
「あ、誘ってくれたんだ?で、返事は」
「もちろんオッケー」
蕗口の問いににこやかに手でオッケー作ってる桐嶋、さっきまで渋い顔して唸っていたんだよな、と考えたら少し笑ってしまった。もうすっかり楽しむ方向に切り替えたみたいだ。
「良かった。俺の方でも声かけてるんだけどさ、場所のこと言ってなかったなーってちょうど思ってたんだよ」
そうか、深く考えてなかったけれど、キャンプのメンバーが揃えば9人になる。これを寮の一室に集めるのは確かに中々きつい。
「教室とか食堂?」
「迷惑にならない?」
無難に提案してみたものの、蕗口が言うように共有の場所を大人数で占有するのは少し気が引ける。なら金剛先生に特別教室を使用できるようお願いしてみるとか。……想像の中の先生が面倒だなあ、って顔をしたので言わないでおく。
「談話室ってなかったっけ」
桐嶋の一言に、蕗口と2人で「それだ!」と声を上げた。
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