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「乗堂が言った通りだったよ」 「そう思っていただけたなら良かったです」  これで万が一にも無礼な態度を取ってしまっていたら乗堂寮長の顔に泥を塗るも同然だったと理解して、ひっそり安堵のため息をついた。 「寮長、書けました」  そろそろ書けたかな?と視線をずらしたちょうどそのタイミングで、蕗口が座っていたイスから立ち上がった。代表者として彼の所属や名前が記された申請書を、受け取った三坂寮長がざっとその場で目を通す。 「人数が随分ざっくりしているけどこれは?」 「まだ確定してなくて」 「……うん、まあ良いでしょう。受け付けました」  引っかかったのはそこだけのようで、そのまま申請は受理された。  お礼を言って部屋を出る時「乗堂によろしくね」と言われてしまったけれど、同じ寮とはいえ一般寮生の俺が寮長と会話する機会って実はそんなに多くはなかったりする。仲が良いと思われているのか、単純に共通の知人に対する定型文みたいな感じだろうか。反射的に「はい」と答えた後で一瞬考えたら、「そんな律儀に考えなくて良いよ」と蕗口。 「あの人あちこち種蒔きたがるから」 「どういうこと?」 「気楽で良いってこと。悪意でやってるわけでもなさそうだし」  なるほど?と分かったような分からないような気持ちになっていると、ところでさっきの、と蕗口が話を変えた。 「過日はパーティーの……とかなんとか何だったの?」 「……あれは忘れてほしい」

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