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「と言うことで先輩が教えてあげに来ましたよ、と」  萩寮の談話室を借りてのテスト勉強会が始まった。そこに集まる声をかけた人たちと、混ざる野中先輩。空き部屋で根津先輩が言っていた「当て」とは野中先輩のことだったようだ。一応本人の許可を得てから、ってことであの時は教えてもらえなかった。 「君たちなにその不安そうな顔。こう見えて俺ってば学年10位以内キープしてる秀才なんだけど?」 「それ自分で言いますか」 「自分で言わなきゃ誰が言うっての?」  この様子でフレンドリーな先輩にみんなすぐ慣れてしまった。そして空気を読むのが上手な野中先輩は、勉強を教えるのも上手だった。すごく分かりやすくて引っ張りだこだ。  おかげで時々冗談が飛びつつも真面目に勉強を進めることができて、かなりいい感じ。  途中一旦休憩を挟むことになった時に先輩に声をかけてみた。みんなはお菓子を食べながら雑談している。 「先輩が来てくれて助かりました。でも先輩もテスト前なのに良かったんですか?」 「俺も一緒に勉強してるし、平気平気。それに、あいつから頼まれごとするの珍しいから」  答える先輩は得意げで、頼られるのが嬉しそうだ。根津先輩、俺には頼ってこいと言ってくれたけれど、自分は全部一人で解決しちゃいそうだもんな。 「根津先輩から俺のことなにか聞いてますか?」 「いや、見てやってくれとしか。……ああ、変なやつ見かけたら殴って縛っとけとは言われたけど、それ?」 「……たぶん」 「深掘りはしないけど、俺戦闘力よわよわだぜ?」  ちからこぶしを作られたけれど言葉とは合っていなくて笑ってしまった。

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