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あからさまな態度をとってしまったことを後悔したけれど、やっと落ち着いて顔を合わせた時健助は至って普通だった。全く気にはしていない様子で、食堂へ行こうと促される。俺はと言えばいつものように隣を歩きながらもフードの奥に目がいってしまう。
「健助……」
「どうした?」
さっき目が合ったよね?俺に顔を見せようとした?顔を見ようとしたことも見せようとしたことも、この1ヶ月と少し、お互いになかった。先に手を出したのは俺だ。
「……お腹空いたな」
誤魔化した俺に、少し笑って健助は「そうだな」と答えた。ちょうどその時、階段を降りきったところで根津先輩と野中先輩に出会した。気づいた野中先輩がひらひらと手を振ってくれる。
「やほー」
「野中先輩、さっきぶりです」
「うん。飯?一緒に行こうぜ、って根津っちが」
「その呼び方やめろ」
思い切り叩かれても野中先輩は楽しそうだ。そのまま4人で食堂に向かいながら、主に野中先輩が1人で軽快に話をしていた。先輩以外全員あまり話すタイプではないから必然的にそうなってしまう。
根津先輩は「大丈夫か?」と一言聞いたきり、俺が「はい」と答えるとそれ以降何も話さなかった。寮の階段下で会ったのも偶然ではなく、待っててくれたんだろう。ありがたいな、と思いつつ、意識して頭の中を晩ごはんのメニューで埋めた。
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