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 テストが始まった。テスト期間中も勉強は継続してしようという話になっているので、昼食後はみんな萩の談話室へ集まる。手応えがあってもなくても、最終日まではどこか暗い気持ちになりがちなのがテスト期間。空気が澱んでいた。 「自信がある人ー」 「ない人ー」  なんて意味のない申告の後で、渋々教科書をめくるみんな。その中で妙に明るい野中先輩に、よほど自信があるのか聞いてみたらこうだ。 「俺はいつでも自信に満ちている」  とっても見習いたい。 「そういう堰くんはいつもより暗いんじゃない?イマイチだった?」 「いえ、先輩のおかげで普段よりできたと思います」  自己採点もそれなりだった。俺が暗いというならそれはみんなと同じでテスト期間が憂鬱なのと、無道先輩のことが気になるから。けれど今の時点で薄々それこそが狙いなのだと感じている。動揺して集中力を乱し酷い点を取らせようとしている。彼にしてはなんて優しい復讐なんだろう。 「ふーん、じゃあ他に気になることでも?」 「そうですね、明日苦手な教科なので」 「ぶはっ、それは確かに。優しい先輩が教えてあげよう」 「わーい先輩優しいなー」 「すごい棒読みじゃん」  これで終われば平和なのに、向こうの先輩はこっちの先輩みたいに優しいだけでは終わらない。絶対。思い通りにはいかないよう結果を残さないと。 「堰、俺はもう無理だ、勉強したくない。俺を置いて行ってくれ……」  ペンを握り直したところで突然どすんと肩に衝撃があったかと思うと、寄りかかった桐嶋が弱音を吐いた。これは重症だなあ。

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