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 やる気はあるみたいだけど手につかないようで、ぐりぐりと肩に押し付けられる桐嶋の頭。そのつむじをなんとなく探しながら背中を軽く叩いた。 「うん、分かる。ちょっと休む?」 「始めたばっかなのに良いのか?」 「良いんじゃない?」  無理矢理頑張ってもかえって頭に入らず効率が悪くなってしまうかもしれないし。ジュースでも買いに行って外の空気で気分転換するのもありだと思う。提案すると、桐嶋はぐうう、と唸った。 「堰が甘やかしてくる!」 「えっ」 「えーずるい、俺も甘やかされたい」  すかさず机を挟んだ向かいから野中先輩が混ざってきたけど、多分本気ではない。 「それで根津くんに自慢する」 「ええ……」  白けた顔されるだけだと思うなあ。 「ゆーやくん、ジュース買いに行くなら一緒に行って良いですか?」  ほとんど話さず黙々と勉強していた葉桜が小さく手を上げたので、健助を加えた4人で食堂の自動販売機まで向かうことにした。 「無性に炭酸ジュースが飲みたかったんですよね」 「あー、俺も!すご炭飲みたい!」  いくつかのメーカーの自動販売機がある中で、少し安めに価格設定がされている地元企業のジュースが人気で、そのうちの「すごい炭酸」略してすご炭が妙に癖になると一部の生徒たちの間で流行っている。葉桜は分からないけれど、桐嶋が言ってるのはそれだ。隣で早速キャップを開けて良い音を立てながらごくごく飲む桐嶋を見ていると、だんだん飲みたくなってくる。 「俺も飲もうかな……健助は?」  後ろに居る健助を振り返ってすぐ異変に気づいた。いつかのようにじっとどこかを見ている。 「健助、何飲む?」 「……同じやつ」  フードの下の目線を辿った後で不自然にならないよう話を戻した。応じる健助の目は、たぶん鋭い。

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