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 たとえそうだったとしても、本気で蕗口がそんなに軽い人間だと思っているんだろうか。いくら自分がそうだからって判断材料はそれしかないのか。 「こいつは誰にでもへらへらしてるが、誰にも興味がねぇんだよ。一人に固執するなんざありえねえ」  先輩の言うように誰にも興味がないのかは分からないけれど、ノリが良いし、愛想も良い、いつも笑顔で、おまけに空気も読める。八方美人と言えばそうかもしれない。  そしてこれで、蕗口の懸念が当たってしまったことが分かる。彼の様子を見て先輩も余計に興味を持った。手遅れだったというわけだ。こんなことなら変に蕗口と距離を置かなければよかった。 「お前のなにがそんなに……いや、まあいい」  実際俺が何かしたわけではないので押し問答になるだけだった会話は、先輩の方があっさり引いた。おもむろに近くのビニール袋から今度はペットボトルを出して寄越す。 「とりあえず飲め」  ……すごく怪しい。怪しさしかない。当然ためらっているうちに、キャップを外してから改めて目の前に差し出される。仕方ない、受け取るだけ受け取って飲まないでおこう。 「遠慮すんな」  しぶしぶ手を伸ばした瞬間、それを避けて襟元を掴まれ、椅子ごと叩きつけるように床に倒された。と同時にペットボトルの中身を顔面にぶちまけられ、ろくに抵抗できないまま強引に口に流し込まれて溺れる。

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