236 / 265

52※

 ふと肩への圧力が収まったかと思うと無遠慮に胸の辺りを撫で回されるけれど、その腕を抑えていたはずの自分の手に力が入らないことに気づいてしまった。手だけではなく、急激に全身がだるい。 「なに、を……飲ませ……」 「変なもんじゃねーって言ったろーが」  自分がちゃんと喋れているかも怪しい。特に瞼が異常に重く、なんとなくそれがなんなのかを理解した。確かに本来は健康管理に使われるものではある。 「良い子は寝る時間だからな。つっても、マジで寝ちまったらつまんねーから頑張って耐えろよ?」  急に湿ったシャツの上から胸の先を千切れそうなほど摘みあげられて、一気に恐怖が湧いてくる。寝たら何をされるか分からない。  先輩はそのまま足ごと被さるように体重をかけながら上体を曲げてきて、今度はシャツごと摘んだそこを噛んだ。 「ひ……っ」  加減はしているだろう。だけど痛い。痛いより怖い。重い、眠い。一瞬パニックになって悲鳴を上げそうになったのを、どうにか耐えた。  そうすると耐えた口に指が入ってきて、舌を執拗に追いかけ回される。これも喉の奥を突かれそうな恐怖。なんとかえずくことなく耐えると、しばらくして唾液に塗れた指が出て行って、シャツの裾から肌を撫でるのでうんざりした。 「風呂……」  寝言みたいに無意識で呟いたようで、先輩が鼻で笑うのが聞こえる。

ともだちにシェアしよう!