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正直に言うと俺もなんて言えば良いのか分からない。何を言っても落ち込んでしまいそうな雰囲気で、蕗口のいつもにこやかな口元が全然笑ってないのに心が痛む。
それでもお互い、一番大きいのは心配じゃないだろうか。手をどうにか伸ばして、彼の耳から後頭部辺りを髪をかき上げるような感じで撫でた。もちろんガーゼ部分に触れないように。
「俺は大丈夫。蕗口は?」
そうすると彼は今にも泣き出しそうな顔になって、遠慮がちに俺の手に自分の手を重ねると、誤魔化すように少し笑った。
「……また俺の心配?」
「友達のこと心配するのは当たり前だし、蕗口もそうでしょ?」
「……友達だし、好きな人だからかな」
軽口にしたかったのかもしれない。いつもの自分で居ようとして、堪え切れなかった涙がほろりと溢れる。静かに蕗口が泣く。
「……ごめん、俺も大丈夫。……本当に侑哉が無事で良かった」
「長い間苦しめられていた人に反抗するのは怖かったよね。俺の味方になってくれてありがとう」
涙は見られたくないだろうと思って、ゆっくり起き上がると蕗口の頭を引き寄せた。一切抵抗しないので簡単に俺の肩に収まってくれる。
今回のことは2人とも被害者だ。お互い助けようとして少し傷を負い、けれど無事だった。最悪は免れた。
これで終わりたいところだけど、あの後の処理を丸投げして眠ってしまったから、どうなったのか確認しないといけない。そう考えていると蕗口が落ち着いた頃に、いつの間にか席を外していた健助と一緒に緋吉先生が仕切りのカーテンを開けて入ってきた。
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