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「親父かよ」
「パパー」
「父上ー」
誰かの呟きに次々乗っかる人が出て、先生の眉間に皺が寄る。言い方が少し親みたいだなとは思ったけれど。年齢的には微妙なところかも。
「お前らのようなでかい子ども作った覚えはありません。以上、解散!」
「パパー」
「お父さん行かないでー」
それ以上相手にはせず、背中にお父さんコールを浴びながらも先生はさっさと教室を出て行った。全部無視するんじゃなくてちょっとだけ付き合ってくれるところが先生らしいと思う。
こういう時のクラスメイトたちの団結力も面白く、体育祭で発揮されるのが楽しみになった。
「先生が出る種目とかねーのかな?」
「あったら面白いよね」
オリエンテーションのことを思い出す限り、たぶん無い。あったとしても想像すると哀愁漂う感じになりそうで、面白いと言ったけど心の中で前言撤回した。
可能性があるとするなら、それこそ借り物競走とか。
桐嶋が言うには「物」と言うより「概念」的なお題が多いからみんな面倒がって出ないらしい借り物競走。ただこの種目に限ってはコミュニケーションが目的らしく、その年にもよるけど盛り上がる年はすごいらしい。なにがどうすごいのかは分からないけれど。
「お題が眼鏡か足の速いやつだったら堰のとこに行くからな! 一緒に走ってゴールしような!」
2人3脚で走るのにまだ一緒に走るのか。というか、眼鏡の場合は眼鏡だけ持って行けば良いのでは。
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