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あっという間に体育祭当日になった。
俺たちのクラスはハリキリ過ぎて怪我人が続出したり、先生が忘れて練習に来なかったり、色々乗り越えての今日だ。みんな良い顔をしている。
空は前日までの雨予報をひっくり返して、雲ひとつない見事な快晴。暑いし眩しいから少し曇ってるぐらいがちょうど良かったんだけどな。そんな日差しに負けないようにか、生徒に比べて先生たちの目がかなり険しくて不安になる。練習の時より心なしか開会の挨拶なんかも短い気がした。
そういえば平日開催で親族のみということもあり人数は少ないけれど、学園外の観客も来ている。もしかしたらそれで緊張感もあるのかもしれない。
ちなみに俺の家族は来ていない。
「よっしゃ、1組優勝するぞー!」
開会式が終わり、待機席に戻るなり桐嶋の気合いにつられて「おー!」と勇ましい声が上がった。桐嶋はこのあと出番なのですぐ入場口に行かなくてはいけない。というか、ほとんどに出るのでずっと席に戻らないかもしれないな。大丈夫なんだろうか。心配になってきた。
「桐嶋、水分はとって」
「おう!」
「ちゃんと休んで」
「任せとけ!」
元気にガッツポーズして走って行ったけど、俺の言葉は全部「頑張れ」に変換されてる気がするなあ。休んで、に任せとけって返事する?
爆発しそうな体力で入場口前で飛んだり跳ねたりする桐嶋を見守っていると、その桐嶋が座っていた席に別の誰かが座ったことに気づいた。
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