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 眩しい人だなあ、と自席に戻って行く乗堂寮長の背中を見送った。  これで俺が出る種目は午前に組体操と2人3脚、午後に借り物競走と寮対抗リレーの4つになった。2人3脚とリレーのタイミングが近くなくて良かった。それに組体操も全身の筋肉を使うから、お昼休憩が入ってちょうど良い。  いくつか桐嶋の出番は続いて、結局そのまま2人3脚の順番が回ってくる。待機列で合流すると桐嶋はまだまだ元気そうだ。 「水分とれてる? 大丈夫?」 「おう! 超元気!」  腕をぶんぶん回してアピールしてくれた。まだラジオ体操しかしてない俺より元気かも、と思いながら、走っている途中で解けないようきつめに2人の足首を紐で縛る。 「やった、やっと堰と走れる!」 「頑張ろう」 「絶対優勝!」  熱気とプレッシャーに苦笑しつつ、結び目の強度を確認してから立ち上がって桐嶋の肩に腕を回すと、「こっち」と腰に移動させられた。すぐに俺の腰にも彼の腕が回る。 「この方が安定するから」  すごいがっちりホールドされて、確かに安定感がある。倣って力を込めると満足そうな笑顔が返ってくる。つられて笑うと、一瞬真顔に戻ったのでびっくりした。用意のアナウンスがあったからかな。急にスイッチ入る桐嶋、オンとオフしかないみたいだ。 「堰」  いつもより落ち着いた声で促され、慌てて前を向く。深呼吸をして、号砲に合わせて「せーの」で綺麗に揃った一歩を踏み出した。

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