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気合を入れて入場したけれど、前半はほとんど小学生でもできるような簡単な技ばかり。
ここではノリの良い何人かが笑い担当として、アクロバットでもなんでもないキレキレのポーズを決めるのがメインで、観客の目の前まで出て妙なポーズを取ることで注目を集めてもらう。白けないか心配したけれど、結構笑いが起こっていて安心した。
組体操は危険性がたびたび問題になっているし、安全面に考慮した苦肉の策でゆるめパフォーマンス……と思わせて、気づいたらグラウンドの真ん中に5段タワーが2つ出来上がっているというギャップ狙いだった。
笑いが驚きと歓声に変わる瞬間が分かって、狙い通りに進んでいることを知る。
「ウケてんじゃん」
「ここまでは順調だね」
タワーを崩したら音楽が止まり、静寂の中でピラミッドと更に難度の高いタワーを立て続けに作り上げる。誰かが力を抜けば、足を踏み外せば、支える腕を抜けば大惨事にも繋がるので、声を掛け合いタイミングを計って慎重に重なる。どれも俺は真ん中辺り、端の位置で、割と楽な方だ。
1クラスだけで人数も少ないのでピラミッドはさほど高くなく、安定して作り終わる。問題のタワーの準備が始まると先生たちがマットを持ってより近くに待機し始めた。
「調子の悪いやつは居ないか? 良いか、くれぐれも慎重にな」
層こそさっきと同じ5段だけれど、今度のスペイン式のタワーは下の2段にほとんどの人数を割き、上の3段が全員立った状態という高さが出るものだ。
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