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下段にも入らない人はタワーの外側で下から手を伸ばして、3段目、届けば4段目の人の腰や足を支える。俺はここの役割だ。最上段は体重ではなくバランス力で、桐嶋が選ばれた。
3段目までは順調で、4段目からはかなり緊張が走る。タワーを登る時がバランスが崩れやすくて一番危ないからだ。できるだけタワーのメンバーに負担がいかないように周りから押し上げる。そしていよいよ桐嶋が登る。
「信じるからな、みんな!」
「気をつけて、慎重に」
「落ち着いて」
「絶対に落ちるなよ」
「てっぺんに好きな物があると思え!」
みんなの激励に一歩踏み出し、安定している場所から登る人に確認を取りながら慎重に。時間をかけすぎると土台の人たちももたないので、呼吸を合わせて3段目の肩まではスピーディーに。ここからは周囲の手が届かないので、観客席からは心配の声も聞こえてきた。支える手にも力が入る。
大丈夫、桐嶋なら。みんななら。
4段目の腰に足をかけた時滑ったのか危ない瞬間があり、息を呑む音と悲鳴、先生たちがマットを構える音が聞こえたけれど、俺たちは驚くほど冷静に信じた。
「耐えろ!」
「揺れてない! 大丈夫!」
「みんな支えてる!」
すると桐嶋も、掴まれている4段目の人も3段目の人もほとんどぶれずに見事に耐えた。そしてついに、桐嶋は頂上にたどり着いた。大歓声の中笑顔でVサインを作り、今度は滑るように降りていく。4、3段目もそれに続く。全員が横並びに整列して礼をするまで、歓声と拍手が鳴り止まなかった。
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