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「いやー、圧巻だったな」 「1年1組!」 「すげーハラハラした」  午前の部が全て終了し、お昼休憩に入っていた。いつも通り食堂で昼食を食べる生徒たちの話題は、嬉しいことに組体操が多いみたいだ。 学園の周りには何もないので、父兄は運動場や体育館などの開放されたスペースで各自持参の食事を食べている。 「怪我はないか」 「ないよ。危ない役割じゃなかったから大丈夫」  健助はご飯より俺の心配をしている。今日もナスの煮浸しがメニューにあるからかな。ナス食べるよね? と聞くとちょっとだけ顔を背けられた。怪しい。 「寮対抗の1年メンバーに選ばれたって?」  しばらくして健助が食事に手をつけ始めた頃、根津先輩がハンバーグを豪快に齧りながら今朝決まったばかりの情報を口にした。どこから聞いたんだろう、興味なさそうなのに意外だ。 「こいつに聞いた」  こいつ、と指差された野中先輩は「俺でーす」と、更に親指で陽気に自分を指した。最近では先輩たちとご飯を食べることが多い。 「堰くんの相棒……じゃなくて、一緒に走ってた子の活躍に戦意喪失しちゃったらしいよ」  相棒をわざわざ言い直したのは意味があるのかな。俺の隣をちら見した気がしたけれど。 「桐嶋ですね。俺も正直勝てる気がしないです」 「勝てよ」  つい弱気な発言をしてしまって、根津先輩にプレッシャーをもらう。と言っても嫌なものでは全くなく、俺を信じてくれてのものだと分かる。 「勝つ気でいけ。やる前から負けるな」

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