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複数人がルールとして良いのかは分からなかったけれど、今までの緩さから大丈夫だろうと判断しての「みんな」だ。もしダメなら誰か一人を選ばせてもらえば良い。
係の人はぱちぱちと目を瞬いて、はっとした顔をすると次に両手を叩いてぱちぱちと鳴らした。
「おおこれは大団円ですね! 入学間もない1年生がこのように仲良くなれる志常学園に、ぜひ入学をご検討ください!」
突然PRが入って会場が笑いと拍手に包まれる。全部係の人が持っていってしまったな。この流れで複数人の借り人は承認されたものの、みんなで仲良く最下位に並ぶことになった。ごめんねと謝っても怒る人は誰も居なくて、良い友達を持てたな、と改めて思える。
余談だけれど、イレギュラーばかりだった今回を受けて、借り物競走の借り人に対するルールは翌年から幾つか足されることになった。
「なんか俺まで入れてもらってお邪魔しました」
気まずそうに前川が去って行く。健助も退場してすぐにどこかへ行ってしまった。結局ぐるぐるバッドは大丈夫どころか得意そうだったし、網潜りもパン食いも困った様子はなかったように思うけれど、彼は何が気になっていたんだろう。
「侑哉の借り人、ちょっと期待しちゃった」
「嬉しかったです」
蕗口と葉桜は、この後台風の目で対決するらしい。
「俺の方こそ、びっくりしたけど嬉しかった。次も頑張って」
「任せて」
「頑張ります!」
言葉通り、二人はそれぞれ長い足と小柄な体を活かしてチームを引っ張って、大活躍ですごく良い勝負だった。
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