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第2話
日が落ちて夜になりました。
チャイムが鳴ると、おばあちゃんがタダシさんの手を借りながら玄関に向かいます。
「沖野さん、いつもすみません」
お母さんの声が聞こえてきました。お母さんはいつもおばあちゃんの買い物をしてから帰ってきます。つまりこの部屋に入ってくるのです。
(お母さんにちんちんを見られる……!)
そう思ったぼくは棚にあるちんちんを掴んでランドセルの中に放り込みました。
「あっ……」
玄関にいたタダシさんが驚いたような声をあげました。そのあと赤くなった顔でこちらを振り返ったのです。
(やばい、目が合った!)
「ぼ、ぼく先に帰るね!」
焦ったぼくはそのままランドセルを担ぐと玄関にいた大人たちとすれ違う形で家を出ました。
「あ、りゅう! ちゃんと挨拶しなさいよ!」
怒るお母さんの声を無視してぼくは隣の自分の家に逃げ込みました。布団が敷きっぱなしになっている畳の部屋に逃げ込むと、その場にへたり込みました。
「ど……どうしよう……、ちんちん持って帰ってきちゃった……」
別にぼくはちんちんが欲しかったわけではありません。(ぼくはすでに自分のちんちんを持っています)焦ってしまったとはいえ、人のものを盗んでしまって胸がどんより重くなりました。
(バレたらタダシさんにも怒られるかな……)
もしタダシさんに嫌われたら、と思うと胸が苦しくなります。
その時、どん……どん……と、低い音が聞こえてきました。ぼくは背中に衝撃を感じてランドセルを下ろしてみると、中から何か叩かれているようです。おそるおそるランドセルを開けてみると、ちんちんが飛び出してきました。
「うわぁ!」
ぼくはびっくりして尻もちをつきました。ちんちんは投げ出したランドセルからひょっこりと顔を出すと、足元にある二つの玉を使ってぴょこぴょこと歩き出しました。まるでウサギが跳ねるようにちんちんは先端を揺らしながら畳の上を跳ねていきます。ちんちんは畳の部屋の出口へとまっすぐ向かっていきます。ぼくはそれをぼーっと見つめていました。
その時、玄関が開く音とお母さんの声が聞こえてきました。
「りゅうー! あんたなんで急に帰るのよ!」
「い゛っ!」
とっさに変な声が出て、両手でちんちんを掴みました。暴れようとするちんちんを押さえつけながら僕は布団の中に隠れました。
「どうしたの、りゅう」
部屋を覗き込んできたお母さんが不思議そうに尋ねてきたのでぼくは少し焦りました。
「えーと、えーと……お腹痛い」
「うそ、大丈夫?」
「だ、だいじょうぶ……」
心配してこちらに駆け寄ってきたお母さんにドキドキしながら、両手で隠したちんちんをぎゅっと握りしめました。ちんちんはむちむちとしていて弾力がありました。ぼくが力一杯握りしめると、諦めたように手の中でうなだれました。
その間にお母さんはぼくの額に手を添えて熱を測っていました。
「熱はないみたいね……。今日お母さん、夜のお仕事の日だから、何かあったら電話してね」
「うん、わかった」
そういって、お母さんはキッチンに行って料理をはじめました。
ちんちんは少し手の力を緩めるとすぐに逃げようとするので、ぼくはずっと捕まえておかなかくてはなりませんでした。
「ダメだよ……お母さんに見つかっちゃうから」
小声でそう言ってみたけど、全然言うことをききません。ぼくはなだめるように優しくちんちんを撫でてあげました。すると暴れていたちんちんが少し大人しくなりました。
「よしよし、いい子……いい子……」
ぼくは褒めながら指でちんちんを撫でました。ふわふわの玉袋やぷにぷにした先端を指でずっと撫でているとなんだか感触が変わってきました。
むにむにしただけのちんちんが、ほのかに芯を持ってきたように思えたのです。
(あれ……なんだか硬くなってきた……?)
「じゃあ、お母さんお仕事行ってくるからね。ご飯食べれそうなら食べてね」
料理が終わったお母さんが声をかけて、そのまま家を出て行きました。ほっとしてぼくは布団をめくりました。
するとちんちんは半勃ちになっていました。さっきまで可愛らしさがあったのに、今は先端が笠のように膨れて大人のちんちんみたいで生意気でした。もう手を離しても逃げようとしませんでした。まるでぼくにもっと触って欲しいと言うようにじっと待っています。
(これ……タダシさんのちんちんなんだよね……)
他の人のちんちんだったら触りたくないけれど、タダシさんのちんちんだと思うとなんだか可愛く感じるから不思議です。
ぼくはごくりと喉を鳴らすと、ちんちんを掴んで上下にこすってあげました。するとちんちんはビクッと震えてどんどん硬くなって膨らんでいきます。
「タダシさん……、気持ちいい……?」
ちんちんはぼくの言葉を肯定するようにかちんかちんになって上を向いてしまいました。棚に飾っていた時の倍ぐらいに膨らんでいてびっくりしました。どうすればいいのかわからないままずっとごしごししていていると先端から透明の汁が溢れてきました。
「うぁ……、ちょっとだめだよ、こんなところで! ふとんが汚れちゃう!」
おしっこだと思ったぼくはちんちんをしかりつけました。傘の膨らんだ下の部分を力一杯握りしめました。手加減しなかったので、ちんちんは苦しそうにぼくの手の中でもがいてました。
「がまんして!」
それでも先端からは玉のように溢れた蜜が糸を引いて布団に落ちてしまいました。ぼくはそのまま抱き上げてトイレに持っていこうとしましたが、重くて動きませんでした。どうやらちんちんは勃つと重たくなるようです。
どうしようかと困っていると家のチャイムが鳴りました。ぼくは少し迷った後、立ち上がるとちんちんに向かって命じました。
「そこにいてよ! 動いちゃダメだからね!」
ちんちんはまるで涙を流すみたいに透明なおしっこを漏らしながらぼくを見上げていました。
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