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第2話

「入籍したの。再来月結婚式上げるから来てね」 目の前で好きな人にその話を聞かされて俺は今どんな顔をしているのだろう。 その事実にアタマが混乱し過去の自分を悔やみ、今更後悔した所で変わる訳では無いが素直に祝うことが出来ない。 一生変わることの無い関係に悲しみしかない。 「一真くん、大丈夫?」 「っ、は、はい、大丈夫!えと、おめでとうございます」 明里先輩とは未だに『親しい先輩と後輩』として大学卒業して2年たった今でも関係は続いていて何か悩みや相談事を口実にメールや電話をしたり休みが合えば出かけたりしていたのに彼氏がいたなんてそんな素振りはなかった。 なのに喫茶店へ呼び出せれ淡い期待の元足を進め衝撃なことを伝えられた。 膝上で強く握った手から汗が滲む。 「ありがとう。一真くんには早く伝えておきたかったの。こんな私を先輩として慕ってくれたし何だか私の弟みたいに思ってるから」 「・・・そうですよね!でもそれは先輩だから……っ」 「一真くん?」 『弟みたい』 一番訊きたくなかった言葉。天井から岩を落とされて苦しいほど胸が割けられた気持ちだ。 泣きたくなるのをぐっと堪えるようにさっきより強く拳を握る。 「大丈夫、です。…先輩、本当におめでとうございます」 「うふふ、ありがとう。そろそろ私、まだまだ色々しなくちゃいけないから行くね。式来てね」 「…はい」 やっぱりきつい。いつかはって心の隅で解っていたことなのに、自分がこの世界にいないように思えてくる。 泣きたい。けど不思議と涙が出ない。笑えてたかな。 もう先輩のことは忘れよう。もう叶わないこの恋は先輩には届かないのだから。 「……はぁ」 「ちょっと、待って君!」 「え?」 零れるため息と共に立ち上がるとカウンターから大きい声がした。それに反応するようにそちらを見ると店員と目があうが自分ではないのでは無いかと周りを見渡すも客は自分のみだった為声かけられたのは自分へだと理解した。 「ちょっとここに来て。君にいい物をあげるよ。今日は寒い日だからこれをサービス」 「あ、あの?」 テーブル席にいた一真を店員はカウンターへ手招きし、それに戸惑いながらも近寄るとカウンターにカップが置かれた。 「突然ごめんね!俺は昌樹(まさき)って言います。ここのオーナーです、よろしく。これはカフェラテです」 「あ!俺、住初一真って言います。」 先輩といた時は店員なんて見てもいなかったのに頭を上げて昌樹をよくみると、でかいなと一真は思った。大体175センチは超えて居るであろうか。いや、もしくは180近いのかもしれない。もっさりして見えた黒い髪は軽くパーマをかけているのか柔らかくふんわりし微笑む顔と優しい雰囲気出ていた。どこか懐かしくきゅんと締め付けれるようだった。 「ありがとうございます。頂きます・・・温かいし甘くて美味しい」 それは良かったと昌樹は安堵の笑顔を浮かべていて一真は落ち着かなかった。 懐かしくてどこか切なくなるこの感じにまともに昌樹の顔を見れず俯くしかなかった。

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