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第3話
口の中に広がる甘めのカフェラテはブラックコーヒーが苦手な一真には丁度よく昌樹に見透かされているような感じがした。
「美味しい…」
「良かった。その表情とてもいいよ」
「えっ?」
驚いてカップから昌樹に目を向けると先程と変わらぬ柔らかな表情で見ていた。
「ずっと眉間にしわ寄せて思い詰めている感じだったから」
「…っ」
初対面の人に読まれるくらい自分の感情が丸出しだったことに恥ずかしくなった。
「ただ接客してるだけだと思った?俺はお客様のことはきちんと見てるよ。話の内容までは深く聞いたりしないけどね。でも何か辛いこと嫌なことあれば此所に来てくれれば俺でいいなら相談や愚痴訊くよ」
何でここまでしてくれるのか不思議でそんな親切な昌樹に何だか暖かみを感じさっきまで先輩のことで悩んでいたのが少し晴れた気がした。
もう一度カフェラテを飲み込んで深く息を吐く。
「はい」
「良い笑顔だ」
あれから昌樹の店に通うようになり、一真は思う。
初めて来た時はお客は一真1人だけだったが、沢山の人が出入りし昌樹に相談するお客が結構いた。
昌樹に話すとすっきりすると皆、笑顔で帰っていく。
温厚で優しさたっぷりの聞き上手だからこそに違いない。
(俺に話しかけたのもほっとけなくて優しさなんだろうな。沢山聞いてくれるけど、お店に来てくれる1人の客でしかないな)
頼んだカフェラテをぐいっと飲んで、持っていたノートパソコンに目をやった。
一真は大学卒業してからは昔からPCをいじるのが好きで学生の頃からしていたWebデザインを流れでそのままWebデザイナーとして働いている。今まで家で作成していたが、あれからというもの昌樹の店で作業が増え、昌樹が気になってしょうがない。
パソコン前に影ができ、見上げると昌樹の姿があった。
「おかわりいる?」
「お願いします。・・・昌樹さん、あの!」
「どうしたの?」
昌樹を呼び止めていたが特に用はなくただ腕を掴んで引き止めていた。
次の言葉が出てこなくて数秒の間ができ、はっとする。
「あ、いや!なんでもないです!おかわりお願いします」
腕を離すと昌樹は不思議そうな顔するも直ぐににこりと微笑みかけて戻っていく。
先程昌樹の腕を掴んだ手を包むように握って俯き、小さくため息を漏らしたが、直ぐに昌樹がやって来てカップを置き、思わぬ言葉に驚いて顔を上げた。
「一真くん、今週土曜日は予定空いてる?」
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