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小鳥に捧げるセレナーデ(10)
朝になって、窓の外で鳥のさえずりが聞こえ始めた。
しばらくすると、カーテン越しに陽の光が部屋の中に差し込んでくる。
とんとん、と遠慮がちにドアをノックする音がした。
「……………………ん」
環が眠たげに薄目を開ける。
「もしもーし。お二人さん。朝飯だよ」
連の呼び声がする。
環が起きていってドアを開けた。
「飯……って、なんでお前半裸なの」
連が怪訝な顔をする。
「察しろよ。おっと、部屋の中はR指定なんで。お子さまは見ちゃだめよ」
「……はぁ……朝飯できてるから、支度できたら下来いよ。遅くなっても構わないから」
「おう」
環がドアを閉める。
縁はまだ起きる様子もなく、全裸のままぐっすりと眠っている。
辺りには色々散乱している。
「ちょっと、やり過ぎちまったかな」
そう呟きながらも悪びれた様子もなく、傍らに腰を下ろして縁の寝顔をまるで大切な宝石のように見つめた。
◇ ◇ ◇
しばらくして環と縁が遅い朝食を食べていると、連が外から戻ってきた。
「おー、起きたかお二人さん。昨夜はお楽しみでしたね」
「品がねえぞ兄貴」
「環に言われるとショックだな……ところで相談なんだが」
「なんだよ」
「今日は何時に発つ予定だ?」
「ええ?言ったじゃねえか。昼飯食わしてもらってから帰るよ」
連がにこにこ笑う。
「だよな」
「気味悪いな、はっきり言えよ」
「環、ランチ手伝って」
「ええ?やだよ。昨日は片付けしなくて良いって言ったじゃねえか」
環が心底嫌そうな顔をする。
「昨日は昨日、今日は今日。普段はわりと暇なんだけど、今日は予約が重なってるんだよ」
「予定の労働じゃねえか」
「まあまあ」
連がなだめるような仕草をする。
「俺も、何か手伝えることありますか?」
縁が申し出ると、連が渡りに船とばかりに飛び付く。
「それなら、皿洗いしてもらえると助かるわ。もちろん食洗機あるから簡単なお仕事だよ」
「縁、そんな気い使う必要ねえぞ」
「でも、色々お世話になったし、何かさせてください」
連が縁の笑顔を見て、思わず縁の頭を撫でる。
「良い子じゃないか。環にゃもったいねえな。うちで働かないか?」
「触んじゃねえよ」
環が連を睨み付け、縁を奪い返した。
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