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第9話

「昼休みが終わる前に抜こう」 「うん」  薄暗い教室の、さらに暗い教卓の内側で、僕たちは自分のシンボルを握った。  しばらく黙って手を動かしていたけれど、灯が僕の肩に寄り掛かってきた。隣を見て、目が合って、灯の仕草に釣られて同じようにしたら唇が触れ合って、さらに唇の先でちらちらと何かが動いた。理解できなくて口を閉じたままでいたら、口を離した灯が熱っぽい声で言った。 「舌、入れたい。ベロチューしよう」 「う、うん」  また唇の先でちらちらしたときに口を開けたら、灯の舌が入ってきた。口の中を舐めることの何がエッチなんだろうと思っていたけれど、自分の舌と触れ合った瞬間、突然に理解した。とろりとした唾液をまとい、世界中のどんな食べ物よりも違和感なく自分の舌に馴染む感触を、とても気持ちいいと思った。唇をくっつけるだけのキスと全然違う。僕は陰茎をさらに硬くした。  僕は灯の舌を舐めながら、夢中になって右手を動かした。灯も僕の舌を舐めながら、同じように激しく手を動かしている気配で、摩擦する音が聞こえた。  僕たちはキスするときに息を止めていたから、すごく息が苦しかった。何度か口を離してはあはあと呼吸して、でもまたすぐに舌を舐めた。二人の顔の汗が流れ込んで、少し塩味がした。たぶん僕たちはどっちも知識が不確かで、不器用だったけれど、求める気持ちは純粋で、出会える喜びは大きかった。  灯が先にポケットティッシュを広げて先端を覆った。強く息を吐いて背中を丸めて、腰が動いた。 「はっ、うあっ」  灯の呻き声は野性っぽくて、その声が僕の腰を痺れさせた。僕もすぐに射精した。 「ん、ああっ」  声が出ちゃって恥ずかしいと思ったけど、灯は僕をしっかり抱き締めてくれた。  ふうっと息を吐いて視界がクリアになったら、急に怖くなった。空き教室にもぐり込んで、エッチなことをいっぱいしちゃった! どうしよう!  でも灯は僕をさらに抱き締め、また蜂蜜みたいな声を僕の耳に流しこんだ。

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