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第5話

「……っ………んっ………」 首筋に這わせた舌に連動して、市村の身体はビクッと跳ねる。 ベッドの軋む音、荒い息遣い、触れるリップ音……部屋を満たす音は俺を高揚させる。 「星川って……いつも、…っんな風に彼女、抱いてたんだ……ぁ……」 「ん?……うん、どうだったかな?」 「はぐらっ、かすなよ……」 「今は市村に集中したいんだ。柄にもなく緊張してるから。」 市村も知っている通り童貞はとうの昔に捨てている。一人前の彼女には手慣れていると言われたくせに、この有り様。 「……大丈夫かな。」 「あ………あの、無理ならちゃんと言って。星川が勃たなくても俺全然気にしないから。むしろそれが普通って言うか、ほらやっぱどう見ても男の身体だし……。」 「え?ああ、違う違う。そう言うことじゃない。そっちの心配なら大丈夫、ほら。」 スラックスを押し上げている自身の昂りを、同じように張り詰めている市村の昂りに擦り付けて存在感を示した。 「わっ………」 「な?」 「じゃあ、何の心ぱ――あっ……!?」 「気にしない。集中、集中。」 油断している隙をついて、下着ごとジーンズをずり下ろして下半身を露に暴く。 恥ずかしそうに背ける顔と、綺麗についた筋肉、興奮を隠しきれずに勃起する昂り、眼下の光景に思わず息を飲んで笑ってしまう。 「……これは本当にヤバイな。」 「だ、から…何が………」 「想像以上に婬猥。」 閉じたがる内腿を強引に開いて、間に身体を滑り込ませた。 「馬鹿………」 「市村のここ、こんなになってるのが悪いんだろ?」 人差し指で先走りが溢れる先端を弄る。 「んぁ……やっ、先っぽ……だめ……」 「先っぽ気持ちいいだろ?俺もオナニーする時弄るんだ。」 「あ……ぁ………ぅあ………」 更に強く指を擦り付けて、耳元に唇を近付けた。 「気持ちいいところ、同じだな。」 「ふ、ぁ……だ、………出っ……あぅっ…!」 一際大きく跳ねた身体は、白濁とした精液を吐き出した。 汚れた腹部が浅い息に合わせ上下する様は堪らなくそそる。 ああ、ヤバイ……挿れたい。 「ほ、しかわ………?」 「市村……抱きたい。俺のこれ挿れて、全部俺のものにしたい。」 「星川…………」 「と思ったけど、やっぱりいきなりは無理だよな。準備とか必要だろうし。」 少しばかりの興味で男同士のセックスを調べたことがある。受け入れる側はとにかく大変だと書かれていたことだけ覚えていた。 「あ………その、いいよ。準備、してあるから……」 「え…………」 気まずそうにものを言う市村を見て察する。 「……アイツとヤる為にここ準備したんだ?」 指を忍ばせて、後孔の入り口をなぞった。 「あぅ……っ……」 「………やっぱムカつく。」 「ぅ………ごめ……っ」 スラックスのポケットから手渡された使いきりローションを取り出し、歯と左手で強引に開く。 「っ!冷たっ………」 中身を全て陰部へと垂らせば、案外その量は多いものでシーツへと滴った。 「……なあ、ゲイだって言ってたけどもう経験済みだったりするのか?」 「な、ない………初めて………」 「そっか………嬉しいけど、さっきの男に市村の初めてを奪われるところだったって思うと何か複雑。」 垂らしたローションを体温に馴染ませるよう後孔へ塗り込めて、指先を少しずつ内側へと埋めていく。 「う、ぁ……中……ゆびぃ……」 「指の形、分かる?」 「……っふ……ぁ……ん、かんなっ………」 「じゃあ分かるように動かしていい?」 「だ、怖…っ…あぁ…ん……」 「気持ちいいんだ?勃ってる。」 「ふぅっ……ぅ………あ…っ」 中指が完全に沈み込んで、熱すぎる粘膜の収縮を感じた。 「市村……俺、自分が思ってた以上にお前のこと好きだったみたいだ。」 「っ……今…言うとか、ずるっ…ぃ…」 「知らなかったのか?俺は狡い男だよ。これから沢山教えてやらないと。」

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