2 / 15
第2話
「さきちゃーん。遅いよー。」
メンバーは、チャラそうな男たち、その中でもとても目立っているのが、長身の黒髪で、どっかのモデルにいそうな容姿をしている男子がいた。
あれが、さきちゃんが行っていた同じ学年のモテ男だろう。
俺は、萎えてしまったが、その萎えは一瞬でふっとんだ。なんせ、女子メンに神崎 明美がいたからだ。
うちのクラスで一番の美女じゃねーか。これは、お近づきになれるチャンス。
俺たちは駅近のカラオケ店にはいった。
「はーい、じゃあ、自己紹介から行こうか」
俺は、さらっと、男の自己紹介を聞き流す。さきちゃんは相変わらず、あのモテ男の方しか見てない。
ち、俺は用なしかよ。
「じゃあ、最後」
俺の番がきた。
「初めまして、ぼく」
「あい!」
さきちゃんに肘でつつかれた
あー、俺、女の子で来てるんだった。俺は、咳払いをして、もう一度やり直した。
「初めまして!私、日谷 愛っていいます!みんなからは、あいって呼ばれています!よろしく~!」
「よ、あいちゃん!」
男たちが盛り上げる。
うるさいところは、居心地が悪い。そのあとは、各好きな歌を歌った。さきちゃんは、あのモテ男にやたらとデュオ曲を進めていたが、何度も断れていた。
おれは、ちょくちょく曲を歌った。場の盛り上がりに疲れた俺は、ドリンクを取ってくると言って、部屋をでた。
「はぁーーーーー」
美女がいるのに、、、。全く楽しくない。
こういうテンション高い人達と一緒なのは、少々つかれる。
女の子だったら、一緒にクレープ屋いって、ファッションの話をすれば、盛り上がれる。
ああいうのは、昔から苦手だ。
「あ、」
「あ?」
声がした方を向くと、あのモテ男がいた。
ち、男かよ。ラブコメなら、ヒロインが出てきて、心配そうに声をかけてくる場面だろ。
俺は、内心イライラしながら、さっさとこの場から立ちさろうと、ドリンクボタンを力強く押し込んだ。
「お前、ブサイクだね」
おん?
そういうと、モテ男は、スタスタと部屋に戻ってしまった。
はあああああああああああああ!
ふざけんな!あの、クソ野郎!そんな事言うためにここに来たのかよ!
俺は、そんじょそこらの女より、可愛いんだぞ?
俺は、なぞの悔しさと怒りで脳が埋め尽くされ、気が付けば、俺は、一人で駅にいた。
あー、、、。そうだ。あの後、すぐカラオケを出たんだった。
俺は、深いため息をつく。脳裏にあのクソ野郎の言葉が浮かんだ。
こんな思いをするから、ああいう輩は嫌いなんだ。
ともだちにシェアしよう!